プロテニスの新シーズン最初となる4大大会・全豪OPが14日から始まります。日本の男女エースである錦織圭、大坂なおみ両選手の活躍が期待されますが、錦織選手といえば最近「ラケット破壊」で話題になることが増えた印象があります。プロ選手がラケット破壊すると罰金などのペナルティがあるのでしょうか。スポンサーとの関係も調べてみました。
ラケット破壊の罰金はいくら?
新シーズン入りし初戦ブリスベン国際で優勝と、最高の出足の錦織選手。ただ好調さの半面、近年の錦織選手といえば試合でラケットを投げたり叩きつけたり、挙げ句には「ラケット破壊」してしまう場面も増えた気がします。
錦織選手のラケット投げや破壊は、2017年に手首故障などで不調に陥った頃から目立ち始めた印象です。初戦敗退した同年2月のリオ・オープンでは、ラケットをクレーの赤土に叩きつけて壊し審判から警告。6月の全仏OPでも、ミスの連発に怒りでラケットを叩き壊しました。
ケガから復帰した2018年シーズンは後半に好調さを取り戻しましたが、最終戦ATPファイナルでもミスが重なって完敗すると思わずラケットを投げていました。
選手がラケット破壊などを行うと、国際テニス連盟や大会主催者などの規定により「アスリートにふさわしくない行為」として罰金が科せられることがあります。金額は大会により異なるようですが、例えば昨年の全米OP決勝で大坂選手に敗れたウィリアムズ選手は、ラケット破壊や審判への暴言で17000㌦の罰金に。
ちなみにウィリアムズ選手の準優勝賞金は185万㌦でしたので、罰金とはいえトップ選手にとってはあまり「罰」にならない気もしますが…。
破壊したスポンサーとの関係は大丈夫?
テニスでは、ラケット破壊、暴言などのスポーツマンシップに反する行為は「コードバイオレーション」と呼ばれ、試合後の罰金のほか、試合中でも警告、失点、失格等の対象となります。昨年の全米OP決勝でウィリアムズ選手が1ゲーム失ったのも、審判からの制裁によるものでした。
多くのプロテニス選手は、用具会社などとスポンサー契約を結んでいます。ラケットメーカーと契約している選手も多く、錦織選手も「ウィルソン」と終身契約を結んでいるそうです。
選手のスポンサー契約に詳しい弁護士によると、自社製品を提供し使用してもらうことで宣伝効果を狙う契約は「アドバイザリー契約」と呼ばれます。これには一般に、選手に企業イメージを損ねないような義務が定められたり、不祥事を起こした際の契約解除や違約金の規定が盛り込まれているとのことです。
アドバイザリー契約で、錦織選手はウィルソンから年間2億5000万円の契約金を受け取っているといわれます。一方で契約書には「ラケットを故意に破損させた場合、契約料10%相当の違約金を支払う」との条項があるとされ、もし本当なら試合で破壊するごとに2500万円も支払わねばなりません。
トップ選手にとって前述の罰金の方は「微々たる額」かもしれませんが、スポンサーとの関係は非常に重要。そのため、ラケット破壊してしまった選手の中には「試合後真っ先にスポンサーに謝罪の電話をする」という人もいるそうです。
錦織ラケット破壊へのネットの反応まとめ
出典:twitter
まとめ
トップアスリートといえども人間。時には感情も爆発し、あのおっとりした大坂選手でも昨年は何試合かラケットを叩きつける場面がありました。しかしラケット破壊には「子供達の鑑として無自覚」と批判が強いようです。
海外でも同じ受け止めのようで、米テニスメディアがまとめた最新の「ラケット破壊ワースト5」にはプリスコバ、ズベレフといったトップ選手がランクイン。1位のペール選手(仏)に至っては、何が癪に触ったのかある試合で何度もラケットを叩き、ボールを返そうともせず観客は大ブーイング。その大会で稼いだ賞金の倍以上の罰金16500㌦を科されたそうです。
ラグビーでは「イライラはタックルにぶつけろ」と指導されるそうですが、怒りの矛先がないスポーツは感情処理もなかなか難しいようで…。
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