ラグビーワールドカップ2019は日本代表が大健闘していることもあり、今までラグビーをよく知らなかった人も観戦の機会が増えていることでしょう。
ところで、ラグビーの国際大会と言えば、試合の直前に選手が踊る、あの勇ましい踊りのことを思い出す方も多いのではないでしょうか。
ニュージーランド代表、オールブラックスの踊りを「ハカ」というのは、筆者も聞いたことがありました。
しかし、2019年10月5日に日本代表と対戦するサモアの踊りは「ハカ」ではなく、「シヴァタウ」というらしいのです・・・。
そもそも、あの踊りにどんな意味があるのか? 歌詞の内容は? 全てのナショナルチームが行ってはいないようだが、なぜ行う国と行わない国があるのか?
この記事では、日本と対戦するサモアの『シヴァタウ』や、サモアという国について調べてみたので、シェアしたいと思います。
シヴァタウとは?
「シヴァタウ」はサモアの伝統的な戦闘舞踊です。
もともと、ポリネシアの国々には(ニュージーランド、トンガ、サモアなど)、戦闘の前に敵を威嚇し自らのモチベーションを上げるためにする戦闘舞踊の伝統がありました。
英語ではウオー・クライ(War Cry:戦いの雄たけび)といいます。
古い日本語ですが、鬨の声(ときのこえ)も似た意味ですね。
ニュージーランドのウオー・クライは「ハカ」、トンガは「シピタウ」、フィジー諸島は「シンビ」、そしてサモアのウオー・クライを「シヴァタウ」と言います。
国際大会でウオー・クライをするのは、この4か国だけのようです。
ラグビーでは伝統に敬意を払う精神から、戦いの前の神聖な儀式として、試合前に「ハカ」や「シヴァタウ」などの戦闘舞踊を行うことが認められているのです。
そのような伝統を持たない、例えば日本のチームが戦闘舞踊を行うことはありません。
サモアの「シヴァタウ」などのウオー・クライは、元々敵を威嚇し自らの戦意を上げるためのものでしたが、時代が下るごとに伝統儀式としての意味合いが強まりました。
現在では敬意や感謝をあらわす儀式として、冠婚葬祭や歓迎式典などの席でも披露されることもあるそうです。
シヴァタウの歌詞は?
「シヴァタウ」の歌詞を紹介します!
"Siva Tau"
「Samoa!
Tatou o e tau le taua!
Tau e matua tau!
Fai ia mafai!
Le Manu!
Team: Sau ia!
Le Manu Samoa e ua malo ona fai o le faiva
Le Manu Samoa e ua malo ona fai o le faiva
Le Manu Samoa lenei ua ou sau
Leai se isi Manu oi le atu laulau
Ua ou sau nei ma le mea atoa
O lou malosi ua atoatoa
Ia e faatafa ma e soso ese
Leaga o lenei manu e uiga ese
Le Manu Samoa
Le Manu Samoa
Le Manu Samoa e o mai I Samoa
Le Manu!」
※ 出展 Wikipaedia(USA)
日本語訳をしてみました。
戦にいこう!
激しく戦おう!
成し遂げるまで戦おう!
獣たち!
さあ行こう!
サモアの獣たち、使命を成し遂げよう。
サモアの獣たち、使命を成し遂げよう。
サモアの獣たち、我々はここに来た。
他に獣はいない。
私は完全に準備してここに来た。
私の力は最高潮だ。
道を空けて、脇へどきなさい。
なぜなら、この獣は唯一絶対の存在だからだ。
サモアの獣
サモアの獣
サモアの獣はサモアから君臨する
獣たち!
※ 筆者による意訳
Manuとは、獣を意味する言葉だそうです。
サモア代表ラグビーチームの愛称、マヌ・サモア(Manu Samoa)は、サモアの獣たち、という意味です。
「シヴァタウ」は、自分たちを絶対的な強さを持つサモアの獣にたとえて、戦いに赴く自分たちを鼓舞しているのです。
「シヴァタウ」の歌詞の意味を知った上で映像を見ると、選手たちの強烈な闘志がより一層伝わってくるようですね。
サモアとはどんな国?
「サモア」は通称で、正式には「サモア独立国」といいます。
南太平洋のサモア諸島にある島国で、国の面積は東京都の1.3倍ほどの小さな国です。
人口は20万人ほどで、日本でいうと荒川区とか文京区の人口と同じぐらいです。
歴史的にはドイツやニュージーランド、国際連合の統治下にありましたが1962年に独立。
国名が現在の「サモア独立国」になりました。
現在ではニュージーランドとオーストラリアと強い外交関係を持っています。
両国ともにラグビーの強豪国ですから、サモアは影響を受けてラグビーの強豪になったのかもしれませんね。
ちなみに日本とサモアは良い関係にあります。
昭和天皇の大喪の礼、明仁上皇の即位の礼の際も、サモアの国家元首が来日されているなど、要人の往来は活発です。
2017年からは、駐サモア日本大使が派遣されています。
仲の良いサモアからのナショナルチームを迎えることで、親近感を持ってしまいますね。
シヴァタウに関するネットの反応まとめ
出典:https://www.youtube.com/watch?v=3xn0RFGCLAc
まとめ
いかがでしたでしょうか? ポイントをまとめますと、
1、「シヴァタウ」はサモアの伝統的な戦闘舞踊であり、ウオー・クライの一つ。
現在国際大会でウオー・クライを行っているのは、ニュージーランド(ハカ)、トンガ(シピタウ)、フィジー諸島(シンビ)、そしてサモア(シヴァタウ)。
2、「シヴァタウ」の歌詞は、絶対的な強さを持ち、敵を駆逐する「サモアの獣(マヌ・サモア)」に自らをたとえて、戦いに赴く自分たちを鼓舞するもの。
3、 「シヴァタウ」などのウオー・クライは、戦闘時の敵に対する威嚇と自らの戦意高揚を目的としたものであったが、時代を下るごとに伝統儀式化し、現在は敬意や感謝をあらわす儀式として、冠婚葬祭などの場でも行われている。
4、 サモアは小さい国にも関わらず、強い国交で結ばれているニュージーランドやオーストラリアと同様に、ラグビーの強豪国の一つ。 また日本とサモアの間は、要人の往来も活発な良好な関係にある。
サモアのことを調べるうちに、サモアを応援したい気持ちが高まってきました。
「シヴァタウ」も、試合も楽しみましょう!!!