トランプ大統領訪日の際に、横須賀基地で、いずも型護衛艦「かが」に安倍首相とともに、乗艦する計画となっています。
「かが」の大きさや値段とともに、乗艦招待に込められた深い意図やこれに対する海外の反応(中国メディア)を見て行きます。
いずも型護衛艦かがの大きさは?
いずも型護衛艦「かが」の大きさを見て行きましょう。
今回トランプ大統領訪日の際に安倍首相と共に日本の護衛艦「かが」に搭乗すべく調整が進んでいます。
その背景としては、
アメリカ第7艦隊のある横須賀基地で行われ、中国をけん制するため日米同盟が確固たるものであることを世界に大きくアピールできる。
米国から購入する垂直離着陸可能なF35Bステルス型戦闘機を搭載できるよう改造される計画で、戦後初めての空母となると言われています。
「いずも」「かが」の空母化により、
(1)軍事力強化による自主防衛の努力を見せ、
(2)インド太平洋における日本の影響力強化し、
(3)米国の対中戦略への貢献ができ、
(4)米国製武器の大量購入による対米支援も兼ねる
など、トランプ大統領にアピールできるとされていた象徴的な空母です。
「海上自衛隊護衛艦かが」は、2017年3月22日に就役し、排水量27,000トン、甲板を含めた全長248mは、旧海軍の航空母艦「加賀」とほぼ同じで、1番艦の「いずも」と共に海上自衛隊史上最大の艦艇となっています。
直進型のデッキがあり、複数のヘリコプターを同時に離陸させることができます。
出雲型護衛艦かがの値段は?
「いずも」と同じく建造費用は1,155億円と言われています。
では、いずもを空母化するには、何が必要で、どの程度の費用がさらに加わるのでしょうか?
必要な改修項目
(1)F-35Bの離着陸時の排気ガスの高熱に耐えうるための甲板の耐熱コーティング
(2)艦首の邪魔な近接防御火器システムの撤去
(3)F-35特有の部品管理システムALISの艦船版の組み込み
(4)1隻につき艦載機たるF-35B12機の導入
船舶の改修費が5億ドル、F-35Bが14億ドルかかることになり、計19億ドル(約2,000億円)で、建造費用の倍近くにもなることが指摘されています(2018.3.28 JBpress参照)。
これは、日本の年間防衛費454億ドル(2017年)の4.24%に相当します。
トランプ大統領乗艦はいつごろ?
トランプ大統領の来日日程では、5月28日(火曜)に、神奈川県横須賀基地で、海上自衛隊の護衛艦「かが」に乗艦となっており、同日中に大統領専用機で、離日となっております。
また、警視庁の「アメリカ合衆国トランプ大統領一行来日に伴う交通規制のお知らせ」でも
令和元年5月28日(火曜)午前に、都心環状線・3号渋谷線・4号新宿線が交通規制されることになっていますので、おそらく、28日(火曜)午前中には到着されるのではと思われます。
警備上の都合もあり、これ以上の詳細な時間は発表がないかもしれませんが、もしあった場合は追記いたします。
海外の反応まとめ
中国メディア「海外志略」2019/5/9の「安倍首相はトランプ大統領を26,000トンの日本軍艦への搭乗に招待して、微妙なシグナルを送ろうとしているのか?」との記事を参照し、抄訳してみました。
2019-05-09 22:58
「安倍首相はトランプ大統領を26,000トンの日本軍艦への搭乗に招待して微妙なシグナルを送ろうとしているのか?」
1.4/26にホワイトハウスで行われた10回目の日米首脳会談は、経済と貿易分野でのトランプ大統領の強硬な要求に妥協点を見出したいとした安倍首相の目論見を打ち砕いた。
米国の赤字は680億ドルで、農業関税の撤廃、米軍装備の追加購入、日系自動車メーカーの米国内生産依然として要求しました。さもなければ、日本の自動車に高い関税を課すと脅しています。2.今回の来日で、トランプ大統領を厚遇して、からめ手から攻め(懐柔策を)、双方の間の経済および貿易交渉を緩和しようとしている。
親しい個人的関係の継続 11回目の日米首脳会談、ゴルフ競技。
新天皇と正式に会う最初の外国の首長となった。
一緒に大相撲千秋楽を観戦し、優勝杯を土俵上で優勝力士に渡す。
護衛艦「かが」へ共に、乗艦する。これまでも、トランプ大統領のノーベル平和賞受賞の推薦をしたのではとも言われています。
3.護衛艦「かが」が日米関係で持つ意味
(1) 護衛艦「かが」の空母化計画によりF-35B戦闘機を搭載可能となれば、特に中国と紛争している南西海域での空からの戦闘で有利となる。日本の自主防衛の努力を示しつつ、米国の対中戦略への貢献ができる。
(2) 「かが」に搭載するために、米国製攻撃型F35Bステルス型戦闘機を大量購入することで、米国の要求に答える。
(3) 5月2日から8日まで、自衛隊とアメリカ、インド、 フィリピン軍艦は、南シナ海域で合同軍事演習を行い、これに、「かが」の姉妹船「いずも」が参加し、米印戦略を支持し、「私は(米国との同盟に)非常に誠実である」というシグナルを送った。しかし、この迂回作戦は成功しないでしょう。
なぜなら、トランプは安倍を平等なパートナーと見なしていないからです。
以前の首脳会談の前、2017年11月に、トランプは死を悼むためと称して、わざわざ真珠湾に行き、貿易問題について安倍と話し合ったとき、「私はいつも真珠湾事件を覚えている」とまず発言しました。
また今回の訪米の際、メラニヤ夫人の個人的な誕生日パーティーに参加しましたが、写真を見ると、トランプ夫妻の「レッドカーペット」から安倍夫婦は外側に押し出されています。これが象徴的です。
結局、トランプ大統領を護衛艦「かが」への乗艦の招待も、新天皇への外国首長の初会見や5回目のゴルフプレイを含めて、トランプ大統領の厳しい経済的な要求の熱を冷ますための安倍首相の迂回作戦、懐柔策だとしています。
それでもトランプの要求をかわすのは難しいだろうとの見解です。
まとめ
いずも型護衛艦「かが」の大きさや値段を調べ、トランプ大統領乗艦への中国メディアの反応を見てみました。
この「かが」乗艦招待がトランプ大統領へアピールするための何重もの意味を込めたものであることが分かりました。さて、安倍首相の作戦の成否はいかがでしょうか?
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