半導体・ディスプレー用の素材3品目の輸出規制に続き、日本政府は、8月には、韓国をホワイト国から除外することを検討しています。
これによる韓国および日本企業への影響を日韓中台4か国のネットの反応とともに見て行きましょう。
ホワイト国除外で韓国の影響は?
日本のホワイト国除外で韓国の影響を見て行きましょう。
日本政府は除外の理由として、「韓国との信頼関係の下に輸出管理に取り組むことが困難になっていることに加え、韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」ことを挙げています。
ホワイト国(俗称)とは、核不拡散条約に加盟するなど、日本が定めた条件を満たし、「大量破壊へいきなどを拡散する恐れがない」と日本が輸出管理徹底国 として認め、輸出管理上で特別優遇している国です。
これまで、韓国の外、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、アメリカの27ヶ国が指定されていました。
アジアでは、韓国のみで、中国、台湾、インドネシアなどの国々は含まれていません。
逆に、欧州連合(EU)が輸出管理のうえで特別優遇しているのは日本を含めて8カ国で、これに韓国は含まれていません。
この制度は、それぞれの国が相手国に独自の評価を行った上で運用しています。
ホワイト国から除外されますと、リスト規制品(軍事転用の恐れがある輸出統制物資に指定された品目)以外の先端材料(一部の工作機械や炭素繊維)などはもちろん、食料品や木材を除くほぼすべての品目に個別輸出許可申請が必要になります。
ホワイト国であれば数年分の輸出許可が一度に得られましたが、除外されると輸出の機会の度に許可が必要になります。
これに、通常3カ月ほどの時間がかかると言われています。
この追加報復措置により、韓国の主な企業のほとんどが影響を受けることになると見積もられています。
日本の措置に直接的・間接的な影響を受ける中小メーカー269社を対象に、中小企業中央会が「日本政府の半導体材料など輸出制限に関する中小企業意見調査」をしたところ、回答企業の59%が「輸出規制が続けば、6カ月以上持ちこたえるのが難しい」と答えたそうです(朝鮮日報参照)。
先端技術で具体的に見て行きましょう。
・半導体製造装置:日本企業が市場占有率100%
ディスプレイ製品「有機ELパネル」の製造に用いられる露光機器
日本企業が市場を100%占有
スマートフォンのアルミニウム金属ボディを作るロボット旋盤はほとんどが日本の製品
水素自動車に使われる水素タンクはすべて日本が供給する炭素繊維で作られている
バッテリー用高品質バインダーやバッテリーセパレーターもかなりの部分で日本企業製
韓国のこの分野の世界でのシェアが高いことを考えれば、関連する日本企業の株価に悪影響を与える可能性が高いと考えた方がよさそうです。
韓国ホワイト国除外で日本への影響は?
日韓の貿易収支は、1988年から連続して日本の黒字となっており、前年同期間より、16.5%縮小したというものの、本年1月から5月までの累積では8,251億円の黒字となっています。
日本の韓国への輸出の上位を半導体製造装置が占めています。
この分野は、米中摩擦による世界景気の悪化の影響などによるメモリメーカーの投資抑制により需要低迷が影響し、前年比11.0%減の2兆2億円と大幅なマイナス成長予測がされています(5月時点)。
これに今回の日韓問題が加わり、輸出が減少するとこの分野のメーカーの売り上げ低下が予想されます。
関連するメーカーとしては、
露光機器:キャノン、ニコン
スマートフォン関連製造ロボット:ファナック
自動車関連
炭素繊維(水素自動車用水素タンク):東レ
バッテリー用高品質バインダー、バッテリーセパレーター:日亜化学
など、高精度部品・化学製品の生産に必要なさまざまな機器や光学計測機器における日本製品の市場占有率は40.50%を超えると言うことですので、関連製品、関連企業も多いことになります。
他に販路が開拓できなければ、減産とならざるを得ません。
また、輸出元の日本企業は食料品や木材を除くほぼすべての品目を輸出するたびに日本政府の許可を受ける必要が出てきて、手間と時間がいままでより、大変になります。
韓国のホワイト国除外のネットの反応
<中国の反応>
<台湾の反応>
韓国が国を強化するための科学技術の発展が最善の政策であると思われる。
出典:Yahoo奇摩(台湾)
<韓国の反応>
出典:Twitter
<日本の反応>
中国とかはそもそも優遇措置とかありませんから、中国と同じな扱いです。
それでいいじゃありませんか。
通常の企業活動の場合、何ら問題無く、今まで通り、輸入できると思うのだが。
今回の措置に反対する日本人はいないのでは。
旅行も来なくていい
就労もやめて欲しいし
韓国ドラマも音楽もすべて要らないので
この際止めてください!お願いします
出典:ヤフコメ
当事者の韓国日本はかなり頭に血が上り、中国は冷たく突き放し、一方で、台湾の反応が比較的冷静で、客観的なようです。
まとめ
ホワイト国除外で韓国の影響と、日本の企業への影響を見ました。
どこかに落としどころを見つけないことには、両国のみならず、米中貿易摩擦で、暗雲漂う世界全体の経済に一層の悪影響を与えることが必然です。
でもそう簡単ではなさそうですね。この状態が、当面続かざるを得ないのでしょうか?
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