真夏の台風10号が日本列島を縦断した15日。甲子園で行われている第101回全国高校野球選手権大会でも、同日予定されていた3回戦4試合が中止となり、1日順延されました。
ボールが空中を飛び交う野球などのスポーツでは、とりわけ風の影響は甚大。過去には台風などの強風で中止になった試合もかなりあったようです。
野球の試合が中止になる風速の基準はあるのでしょうか。野球と風の影響の事例を調べてみました。
野球は風速いくつで中止?
高校野球・甲子園大会主催の高野連は、試合前日の14日、早々と15日の全試合順延を決定。大雨、強風などの警報発令のため、甲子園での練習も中止すると発表しました。
野球では、大雨の場合グラウンドや視界が不良になるため中止の原因になりますが、風の影響も無視できません。野球、ゴルフといった屋外球技はボールが風の影響を受けやすく、強風では正常なプレーができないためです。
では野球の試合は風速何mになると中止になるのでしょうか。公認野球規則などでは「風速何m以上なら中止」という明確な規定はないようです。
試合の中止については、甲子園大会など学生・アマ野球では主催者が、プロ野球では試合開始前は主催球団(監督)、開始後は球審が決める権限を持っています。
各球団・球場とも、風速、雨量ともに明確な中止基準は設けてないようで「グラウンド状況などを総合勘案して決定する」のが一般的。台風のコースや警報発令なども判断の目安になっているようです。
ただ、海のすぐそばにあり「マリン風」とも呼ばれる強風が〝名物〟のZOZOマリンスタジアムでは、2015年に10分間の平均風速が14m超を記録したため中止になった例があります。
同スタジアムでは10m程度の風速は日常茶飯事ですが、さすがに14m以上になると、平凡な内野フライが流されファウルになるなどまともな試合は不可能。球場設備が飛ばされるなど危険も大きく、中止判断になったようです。
台風順延も「前向きに」宇部鴻城:バーチャル高校野球 https://t.co/bHI3uM2iXY #高校野球 #甲子園
— 朝日新聞高校野球@大阪 (@asahi_o_yakyu) 2019年8月14日
風の影響の過去事例
風の影響が大きい野球では、過去にも風速が大きいため中止になった事例があります。
プロ野球では強風が多いZOZOマリンスタジアムでの千葉ロッテの試合が目立ちます。主な例は以下の通りです。
・18年9月 強風でロッテvsソフトバンク戦が試合前中止
・15年4月 強風でロッテvs楽天戦が試合前中止
・14年3月 強風でオープン戦のロッテvs楽天戦が1回途中でノーゲームに
ZOZOマリンではこれ以外にも過去数回、セ・リーグでは最近はないものの、1950~60年に数回、強風での中止例があったそうです。
一方高校野球・夏の甲子園では、今回の台風10号による1日全試合順延は17年の第99回大会以来。99回大会では、台風5号接近のため開会式と初日の試合が順延されました。
また14年の第96回大会では、台風11号接近のため、開会式など開幕日から2日続けて全試合が中止・順延になるという史上初めての事態になりました。
↓強風下で試合続行され、翻弄されるロッテ・ソフトバンク両軍
野球で強風へのネットの反応
出典:twitter
まとめ
「野原でやる球技=野球」だけあって、やはり自然現象には勝てません。雨風だけでなく過去には以下のような中止例もあったそうです。
・積雪(01年3月のロッテ-オリックス戦)
・濃霧(98年8月の日本ハム-西武戦)
・桜島の降灰(78年7月のクラウン-ロッテ戦)
「天候に左右されずに試合できる」と最近増えてきた各地のドーム球場でさえ、過去中止になった例は計20回以上に上るとも。その多くは、台風などのため交通機関が乱れ選手や器具の移動ができなかったり、観客の安全に配慮したのが理由のようです。
高校野球・甲子園の場合、生徒・応援団など多数の関係者が遠征中で、移動や宿泊手続きなどが大変ですから、中止は特に早めの判断が求められるといえますね。