今年の全国高校サッカー選手権大会は青森山田高校が2年ぶりに優勝を果たし、強豪復活を印象づけました。青森山田は多くの競技でトップアスリートを輩出している名門高。ちょうど今、テニス全豪OPで奮戦中の錦織圭選手もOBです。
ただ錦織圭選手といえば中学の時テニス留学で渡米したはず。錦織選手が「青森山田の特待生で授業はなしだった」という〝都市伝説〟は本当なのでしょうか。青森山田高の教育課程や有名卒業生などとともに調べてみました。
錦織圭は青森山田の特特生出身?
青森山田高校は青森市にある男女共学の私立高校です。併設の中学校もある「中高一貫校」でもあります。前身は大正時代に創立された家政女学校という伝統ある学校です。
青森山田といえば、今やスポーツ界では知らない人はいないサッカー、卓球などの部活動の全国的強豪校であり、過去に多くの一流選手を輩出していることでも有名です。
その卒業生の一人が錦織圭選手です。ただ錦織選手の場合、一般的な「スポーツ特待生」とは事情が異なるようです。錦織圭選手は地元島根県の中学生のとき、世界に通用するテニス選手を育成する「盛田正明テニス・ファンド」の第4期特待生に選抜。中学2年で渡米しIMGアカデミーでテニス漬けの日々を送っています。
このため日本の高校に通うことができず、青森山田高では「広域通信制課程」というコースに入学したようです。通信制ですので、外国在住などで毎日学校に通えなくても授業を履修することができたとみられます。
いったいどんな高校生活?勉強は?
前述のように、米国在住の錦織圭選手は高校時代、青森山田高の通信制課程を履修していたようですので、〝都市伝説〟のうち「学校での実際の授業には出ていない」という部分は確かに間違いとはいえません。
しかし盛田ファンドは勉強面や人間形成にも厳しいといわれていますので、錦織圭選手は自宅などできちんとカリキュラムを学習していたのは確かでしょう。
青森山田の通信制課程は中学卒業資格者であれば年齢を問わず入学できますので、さまざまな職種や進路の卒業生がいます。公式サイトでは、OGのプロダーツ選手が「ダーツの練習をしながら高校を卒業でき、サポートに感謝しています」と語る体験談などが紹介されています。
青森山田高の普通科には、トップアスリートを目指す「スポーツコース」や一般生徒向けの「キャリアアップコース」など各種専攻があり、推薦入学や専願特待制度といったいわゆる「特待生」の仕組みも設けられています。
スポーツコースでは各部活動を通じて競技に集中する高校生活を送り、これまで多くのプロ選手や五輪代表などの世界的なアスリートを生んでいます。もちろん大学進学に向けた一般授業や人格形成の指導も並行して行われているそうです。
全国高校サッカー選手権、2大会ぶり2回目の優勝を飾った青森山田高校!
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他にもたくさんいる青森山田の卒業生
青森山田高の卒業生には、錦織圭選手以外にも特待生だった選手など、現在世界で活躍するトップアスリートが数多くいます。
例えばサッカーでは、昨夏のW杯でも日本代表として活躍した、現ヘタフェCF所属の柴崎岳選手。先日の高校サッカー選手権優勝メンバーの檀崎竜孔選手は、卒業後にコンサドーレ札幌へ、三國ケネディエブス選手はアビスパ福岡にそれぞれ入団する予定です。
卓球では女子の福原愛さんや男子の水谷隼、丹羽孝希両選手ら、五輪メダリストでもある日本のトップ選手を何人も輩出。プロ野球にも、2017年新人王に輝いた中日の京田陽太選手らがいます。
元プロボクシング世界王者の竹原慎二さんや畑山隆則さんらも、錦織選手と同じ青森山田の通信課程を卒業されているそうです。
まとめ
青森山田高校はスポーツでの活躍が全国的に有名ですが、歴史をひもとくと、始まりは創設者が始めた裁縫塾だったそうです。その由縁からか現在も調理科、自動車科といった実学課程も充実。またスポーツだけでなく、吹奏楽、美術、演劇の専攻コースや、難関大を目指す進学特化の「特進コース」も開設するなど、幅広い教育が特色のようです。
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