ともにボクシングの元バンタム級世界王者のネリ選手(メキシコ)とパヤノ選手(ドミニカ共和国)が、7月20日に米ラスベガスでノンタイル戦を行います。
体重超過などの不祥事が続いたネリ選手ですが、昨年、WBCの資格停止処分が解け試合復帰。元王者が相手とあって、今回が本格的な再起戦となります。
「ヒール」として日本のファンには悪評高いネリ選手。その強さや戦績は?ダウン経験はあるのでしょうか。「怪物の弟」井上拓真選手との今後の対戦の可能性も探りました。

ネリの戦績と強さ
ルイス・ネリ選手はメキシコ出身の24歳と意外に若いボクサー。回転のよい強打を持ち味とし、「豹」の愛称があります。
12年にプロキャリアをスタートさせ、わずか1R1分あまりでTKO勝ちする鮮烈デビュー。勝ちを重ね17には年間最高の若手有望選手賞プロスペクト・オブ・ザ・イヤーに選出されます。
17年8月、WBCバンタム級王者山中慎介選手に世界初挑戦し、4回TKO勝ちで王座を獲得。ところがその後、試合前に行われた検査で禁止薬物が発覚します。
しかしWBCは最終的に「故意に摂取したという確証が得られず、汚染された食品により摂取した可能性がある」として処分はせず、ネリvs山中の再戦を指令。
18年に再戦が行われますが、今度は前日計量でネリ選手が大幅に体重超過。王座を剥奪されて試合に臨んだものの、あまりの体重差でネリ選手が山中選手からダウンを奪うなど圧倒、2回TKO勝ちとなります。
ネリ選手は資格停止処分を受け、日本のJBCは「永久追放」。日本の関係者やファンの間では「山中戦もドーピングや意図的体重超過など不正で勝っただけ」とネリ選手への怒りが今も続いています。
しかしネリ選手の戦績自体は27戦全勝21KOと圧巻。世界戦がいわくつきの山中戦だけのため、「ネリは本当に強いのか?」と実力を測りかねる声もあり、次戦パヤノ戦は「試金石」ともみられています。
¡VENGA, PANTERA!
De cara a la pelea ante Yamanaka, Luis Nery luce optimista https://t.co/lGafevrz1f pic.twitter.com/9LTBmDkYGy
— Esto en Línea (@estoenlinea) February 26, 2018
ダウン経験と弱点は?
無敗と圧巻の戦績のネリ選手ですが、プロキャリアで1度だけダウンを喫したことがあります。
それは最初の山中戦を終えた後の17年11月。メキシコでビラヌエバ選手(フィリピン)とノンタイトル戦を行い、優勢に試合を進めますが、4回に打ち合いの中でカウンターを顔面に受け、思わずぐらつきます。
ジャッジはダウンと判定、テンカウントを始めますが、ネリ選手は「全く問題ない」という風にジャンプするなどアピール、試合を再開します。
そしてその後は終始強打で圧倒し、6回TKO勝ちを収めますが、ファンの中には「ネリは防御には難がある」との指摘も。ボディなどにも弱点があるともいわれます。
↓ネリvsビラヌエバ戦
ネリの今後の試合は?拓真戦はありうる?
無敗でダウン1度だけの戦績のネリ選手、今後は王者再挑戦に意欲的とされます。ただそれにはやや「順序」があるようです。
WBCバンタム級では、ウーバーリ選手が1月の王座決定戦で勝利。WBCは暫定王者井上拓真選手との統一戦を義務づけています。そのウーバーリ選手は7月6日、初防衛戦に臨みます。その後年内にも拓真vsウーバーリ戦が行われる見込みです。
ネリ選手としてはこの拓真vsウーバーリ戦を待って、その勝者に対して王座挑戦をする形しかなく、拓真選手が勝てば来年以降、拓真vsネリ戦実現の可能性があるかもしれません。
https://twitter.com/takumainoue_122/status/1144931064252493824
ネリのネットの評価





出典:twitter
まとめ
7月の世界のボクシングマッチでも、注目の一つであるネリvsパヤノ戦。「パワーと猛ラッシュ」というスタイルでは、実は似たタイプの二人だともいわれます。
年齢差がかなりあることや、ネリ選手の復帰具合がどの程度か懸念もありますが、王座に向け再起を果たしたいネリ選手には負けられない1戦となりそうです。
