フィギュアスケートの全米選手権がこのほど米デトロイトで行われ、男子シングルでネイサンチェン選手が圧巻の演技で3連覇しました。
その結果はショート・フリーの合計で342.22点という〝世界歴代最高〟の衝撃得点。羽生結弦選手が持つ公式世界最高点をはるかに上回りました。ネイサンチェン選手は羽生選手以上の天才なのか?二人の直接対決がある世界選手権でもこの演技が見られるのでしょうか。
ネイサンチェンは羽生結弦以上の天才か?
フィギュアスケートは2018-19シーズンが後半に入り、主に欧米では各国の国内選手権が開かれる時期。それは、3月にさいたま市で開かれるシーズン最高峰の大会・世界選手権の代表選考の場ともなっています。
各国の国内選手権は国際スケート連盟(ISU)が公認する国際大会ではなく、あくまでその国のトップを争ういわば「ローカル大会」ですが、特に選手のレベルが高い〝フィギュア大国〟である日本、ロシア、米国、カナダなどの国内選手権は、国際大会並みにファンや関係者から大きな注目を集めます。
その一つ、今年の全米選手権はネイサンチェン選手の衝撃得点が世界的なニュースになりました。
ネイサンチェン選手は中国人の両親の元に米ソルトレイクシティで生まれた、まだ19歳。シニアデビューした16-17シーズンでブレイクし、全米選手権初優勝、四大陸選手権優勝など一気に世界のトップに躍り出ました。
17-18年シーズンでも全米選手権を連覇。そして世界選手権では2位の宇野昌磨選手に47点もの大差をつけ初優勝を飾るなど、羽生結弦、宇野選手という世界をリードする男子日本勢の最大のライバルになりました。
今回の全米選手権では、得意とする4回転ジャンプをショート、フリーで計6回も完璧に成功。ノーミスの優れた演技で演技構成点も非常に高く、世界のファンも驚愕する衝撃得点を叩き出し、2位と60点もの圧倒的大差で3連覇を成し遂げました。
地元メディアも「支配的でとてつもない」「自分一人の大会に出ているよう」とその〝天才ぶり〟に称賛の嵐。米国内では、世界選手権での「打倒羽生結弦」に期待が高まっているようです。
ネイサンチェンの衝撃得点は世界選手権でも出る?
全米選手権でネイサンチェン選手が記録した「天才的」な衝撃得点を詳しくみてみましょう。
ショートでは冒頭のトリプルアクセルがGOE(出来栄え点)2点以上で計10.29点。4回転フリップが15.40点、4回転トゥループ+3回転トゥループが19.82点という超高得点で、合計113.42点を獲得。
さらにフリーでは4回転ルッツが17.25点、4回転フリップが16.03点などここでも超高得点を連発。5種類の演技構成点ではすべてが10点満点の9点台の上、「身のこなし」「曲の解釈」では満点を取るなど合計228.80点と異次元の強さをみせました。
ちなみにISUの公式戦での今シーズン最高点は、羽生結弦選手がGPヘルシンキ大会で出した297.12点ですから、ネイサンチェン選手の衝撃得点はこれを45点も超過。
ISUでは今季から得点基準が大幅変更となったため過去の記録はリセットされましたが、参考歴代記録1位の羽生結弦選手の330.43点をも10点以上上回っています。
これほどの衝撃得点は、審査員が付けたジャンプのGOEが非常に高いことなどが要因です。4回転ジャンプは軒並み4~5点もの極めて高いGOE。演技構成点の満点も、国際大会ではまずあり得ないといえます。
フィギュアの各国国内選手権はISU公認ではないため、得点は参考記録です。このため選手の士気を高める狙いもあるのか、過去にももの凄い高得点が出る例が時折みられます(全日本選手権はさほどでもないようですが…)。
ただネイサンチェン選手は、平昌五輪のフリーでも4回転を6回も跳び、その際の技術点127.64点は今でも歴代1位。8回のジャンプの得点が全て10点を超えた史上初の選手になっています。
今回のような完璧な演技が世界選手権でもできれば、GP大会での羽生選手の点を上回るのは確実。ますます3月の「直接頂上決戦」の注目度が高まりそうです。
https://twitter.com/USFigureSkating/status/1089656089711468547
https://www.instagram.com/p/BNUsqKphqhy/
ネイサンチェンのネットの評価まとめ
出典:twitter
まとめ
米フィギュア界期待のニュースター、チェン選手ですが、今季名門イェール大学に進学し、統計学と医学を学びながらスケートと両立させるなど、とてもインテリで勤勉なことでも知られます。
小さい頃財団の支援を受けながら練習に励んだ経験から、「将来は自分も若い選手を援助したい」と語るチェン選手。各国のトップ選手とともに、今後の世界フィギュア界を背負う存在になることが期待されます。
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