ボクシング・バンタム級、「井上兄弟」のダブル世界戦まであと2か月。井上尚弥、拓真両選手はこのほどジムで練習を公開し、順調な仕上がりぶりをアピールしました。
WBC暫定王者の井上拓真選手がこの11月の統一戦に勝って正規王者となれば、次戦はWBC1位のネリ選手(メキシコ)との対戦が予想されます。
「お騒がせ問題児」ネリ選手も知らぬ間に不気味に存在感が増しているようです。さて「井上拓真vsネリ」戦の実現可能性は……?。
井上拓真vsネリの予想
今や世界屈指の「怪物」ボクサーとなった井上尚弥選手。11月のWBSS決勝は世界的注目の1戦ですが、そのセミファイナルが、2歳下の弟・井上拓真選手とWBC王者ウーバーリ選手との「バンタム級王者統一戦」です。
井上拓真選手にとっては初の正規世界タイトル戦。相手はアマエリート出身の相当な難敵ですが、地元日本でのダブル世界戦だけに、兄弟揃っての勝利を期待したいところです。
もし拓真選手が勝って正規王者となれば、次戦はあの「悪童」ルイス・ネリ選手との防衛戦になることも予想されます。というのも、海外メディアによれば、WBCのスライマン会長が「拓真vsウーバーリの勝者は、ネリと指名試合を行わねばならない」と語っているためです。
WBCバンタム級王座は、元々山中慎介氏が長年守ってきたタイトル。これをネリ選手が17年に4RKOで山中氏を倒して奪いました。しかし試合直後、ネリ選手にドーピング疑惑が発覚し、18年に再戦を行ったものの今度はネリ選手が〝意図的〟に体重超過。
再戦でも2RKOでネリ選手が勝ちましたが、資格停止処分でWBC王座はそれ以降空位となり、ようやくこのほどウーバーリ選手が獲得した経緯があります。
ネリ選手は「4団体統一までやめない」とバンタム級にこだわる意向。拓真選手が新王者となれば、両陣営の交渉次第ではありますが、来年にも初防衛戦として「井上拓真vsネリ」戦が行われるとの予想も出ているようです。
ウーバーリvs井上拓真の勝者はネリと対戦義務 <br/>WBCスライマン会長語る https://t.co/3YLXcIU24X #boxingnews.jp #ボクシングニュース
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井上拓真が練習公開 兄とダブル世界戦向け調整順調 https://t.co/hP06w8eZYz @nikkansportsより
— 大橋ボクシングジム (@ohashi_gym) 2019年9月7日
ネリの評価が上昇している
井上拓真選手が正規王者となれば、次の防衛戦で拳を交える可能性も予想されるネリ選手。
ネリ選手はメキシコ出身でまだ24歳の若さ。12年にプロデビューし、これまで30戦30勝(24KO)無敗という圧巻の戦績です。
順調にキャリアを重ねながら、山中戦でのドーピング疑惑や体重超過で評判を落とし、資格停止処分を受けたネリ選手。
しかし昨年秋処分が解けると、再起戦では3RTKO勝ちでWBCシルバー王座を獲得し見事に復活。今年に入っても、3月にアローヨ選手から4度のダウンを奪い圧勝。7月には、井上尚弥選手から「70秒殺」された、あのパヤノ選手を9Rにボディ攻撃で沈め、強さを示しました。
この3戦でネリ選手のボクシング界での評価は急上昇。全階級ランキング「PFP」認定で知られる米誌「ザ・リング」は、バンタム級全体の格付けで、このほどネリ選手をリング誌王者尚弥選手に次いで「1位」に昇格させました。
ちなみに2位はテテ(WBSSを棄権)、3位ドネア(尚弥選手の次戦相手)、4位ウーバーリ、7位井上拓真選手となっています。なお海外メディア「ワールドボクシングニュース」の全階級ボクサートップ50では、バンタム級では4位の尚弥選手、16位ドネア選手だけがランクインしています。
井上拓真vsネリのネットの予想
出典:twitter
まとめ
日本のボクシングファンにとって、ネリ選手は「許されざる悪役」。かねてから「誰か強い日本人が、山中さんの敵を討ってほしい」といった声が絶えません。
その点で、現在ボクシング界で一番ホットな存在の井上兄弟は恰好の「正義のヒーロー」ですが、問題はネリ選手が日本のJBCから「永久追放中」なこと。
拓真選手は王者でありながら、日本国内ではネリ選手とは試合ができません。WBCの指令があったとしても、「両者が納得できる開催国探し」「興行面で成立するか」など、「拓真vsネリ」実現にはハードルも多そうです。