第101回高校野球・夏の甲子園大会はあす20日、準決勝が行われます。全国の地方大会から続いた激戦に勝ち残ってきた4校は星稜(石川)、中京学院大中京(岐阜)、履正社(大阪)、明石商業(兵庫)です。
中でも明石商業は唯一の公立で、公立校としては1983年の池田、横浜商以来、36年ぶりとなる春夏連続4強。明石商業は公立なのになぜ強いのか。過去の甲子園成績とともに探りました。
明石商業の甲子園成績
並み居る強豪私学を次々となぎ倒し、甲子園ベスト4まで来た「公立の雄」市立明石商業。「なぜ強いのか」を紐解く前に、まず明石商業の甲子園成績を振り返りましょう。
【春の選抜大会】
明石商業が甲子園初出場を果たしたのは、16年の第88回選抜大会。初出場ながらいきなり1回戦、2回戦を連勝し、準々決勝に進みますが、龍谷大平安(京都)に敗れました。
そして今年春の91回大会に2度目の出場。この時も快進撃をみせ今夏と同じベスト4へ。準決勝で、優勝した東邦(愛知)に敗れました。
【夏の選手権大会】
夏の甲子園では、昨年の100回大会に初出場。残念ながら1回戦で八戸学院光星(青森)に敗れました。そしてリベンジの今101回大会に2年連続で出場。
2回戦から登場し、花咲徳栄(埼玉)、宇部鴻城(山口)、八戸学院光星といずれも接戦を制して春夏連続のベスト4となりました。特に八戸学院光星戦では昨年の雪辱を見事に晴らしました。
以上のように、過去の甲子園成績は春2回、夏2回出場で最高はベスト4という明石商。今大会、20日の準決勝で、同じ関西のライバルでもある強豪・履正社を撃破しての過去最高の決勝進出を目指します。
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明石商業はなぜ急に強くなったのか?
明石商業は兵庫県明石市にあり、同市が設置する唯一の高校、つまり明石市立高校です。1953年に設立された男女共学校で、商業科・国際会計科があります。
部活動は野球、卓球、サッカー、バレーボールなどがありますが、今でこそ全国屈指の強さの野球部も、わずか十数年前までは全国的には「無名」でした。
そんな明石商業がなぜ〝強豪〟に生まれ変わったのか。きっかけとなったのは2005年、「野球を通じた町おこし」を掲げた明石市が、市立高で全国初の野球指導者の公募を行ったことでした。
全国から集まった大学や私立高監督らの候補者から選ばれたのが、現在の狭間善徳監督。06年にコーチ、07年監督に就任。当時の野球部員によると、狭間監督就任以降、野球部の姿や練習密度などが一変したそうです。
狭間監督はそれまで明徳義塾高で名将・馬淵監督に野球指導を師事。明徳義塾中では軟式野球部監督を務め、4度も全国制覇するなど監督としての才能を開花させていました。
その「馬淵・狭間イズム」が明石商にももたらされ、同校は大きく躍進。狭間監督のスタイルは「今やらんでいつやるんや」という生徒目線の熱血指導。県内中学を丹念に回りスカウトに歩いた成果もあり、監督の下には続々と有望選手が集まり、現在では兵庫県トップ3の100人以上の部員数が定着しています。
反復した基礎訓練・戦術練習に加え、「データ班」を派遣して対戦相手の投手の癖、配球、打者の傾向など詳細データを徹底収集。監督の分析のもとに全選手が長時間ビデオで研究する「緻密なデータ野球」も強さの基になっているといいます。
昨年のNPBドラフトでは、〝狭間イズム〟で育った卒業生の松本航投手が西武から1位指名。明石商初のプロ選手となりました。「全国的にみても、ここまで変化した公立校は他にないと思います」と、狭間監督も誇らしげです。
狭間監督のこれが見たかった!
甲子園来てよかった!2019.8.16 pic.twitter.com/RCcpu35oDQ
— みーた (@gumi07439376) August 16, 2019
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— 神戸新聞 (@kobeshinbun) August 18, 2019
明石商業に関するネットの評価まとめ
出典:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190815-00000014-nkgendai-base
まとめ
明石商は公立校では独特な「スポーツ科学コース」というカリキュラムを設けているのも特徴です。
野球部、サッカー部など特定の部活入部者だけが選択でき、スポーツ等を通じて地域に貢献できるスペシャリストの育成を目指すコース。
こうしたユニークな教育や野球部の活躍もあり、地元中学生の志望者も増え、大学進学実績なども徐々に向上する「相乗効果」が出ているそうです。
明石市も「宣伝効果は100億、200億円」と喜ぶ明石商の躍進。夢の「日本一」まではあと2勝です!