甲子園で熱戦続く春の選抜高校野球大会。28日の2回戦では、優勝候補筆頭と目された星稜(石川)が習志野(千葉)に敗れる〝波乱〟がありました。
その試合後異例の事件が勃発。林・星稜監督が小林・習志野監督に「サイン盗みをするとはアンフェアだ」と猛抗議したのです。
結局大会側は不正はなかったと結論づけ、林監督も「行き過ぎだった」と日本高野連に謝罪し決着しましたが、実は野球界の「サイン盗み」は度々騒動になってきた古くて新しい問題でもあります。
そもそもサイン盗みに関するルールや罰則はどうなっているのでしょうか。高校野球とプロ野球との違いもまとめました。
サイン盗みのルールや罰則は?
テレビ全国中継もあるさ中の異例の「サイン盗み問題」は星稜vs習志野戦4回に発生。習志野はこの試合初めて2塁に走者を進めましたが、その際、星稜捕手が球審に「走者が打者に球種を伝達している疑いがある」と指摘したのです。
そこで4人の審判団が集まって協議しましたが、不正行為はなかったと結論。二塁塁審が習志野走者に「紛らわしい行為はしないように」という注意を与え、試合は続行されました。
しかし試合後、林監督は「習志野は1回戦でもやっていた。映像証拠もある」と激怒。一方の小林監督も「うちは何の注意も受けてない」と反発し、両監督が何度も直接やり取りする事態に発展しました。
最終的に大会主催者側は「サイン盗みは判断できなかった」としつつ、今後の試合で改めて不正行為に気をつけるよう各校に注意喚起することになりました。
選抜の大会規則では、走者などが捕手のサインを見て打者にコースや球種を伝える行為を禁止。疑いがある場合は審判員が当該選手と攻撃側ベンチに注意し、やめさせるルールになっています。罰則はありません。
日本高野連は98年に「マナーの向上」の指導要綱をまとめ、走者やベースコーチの「サイン盗み」や、ベースコーチが「セーフ」のジェスチャーをするなどの行為を禁止。
しかしサイン盗み疑惑はその後も時折起こり、13年夏の甲子園での花巻東、16年センバツでの秀岳館などが「サイン盗み」の疑いで注意を受けています。
ではプロ野球の実態はどうでしょうか。
#サイン盗み「現段階ではなかった」大会審判副委員長#センバツ #習志野 #星稜https://t.co/VLZFYEfuo1
— 日刊スポーツ (@nikkansports) March 28, 2019
プロ野球は高校野球と規定は違う?
高校野球では走者らの行為を御法度とし、罰則はないものの審判が注意するルールのサイン盗み。ではプロ野球での規定はどうなっているのでしょうか。
プロ野球でもかつてさまざまなサイン盗み疑惑が起き、社会問題に発展したこともあります。記憶に新しいところでは98年のダイエー(現ソフトバンク)。地元紙で「外野席からサインを盗み見て伝達している」と大きく報じられ、パリーグ特別調査委が設けられるなどの騒動になりました。
また01年の近鉄(現オリックス)も試合中にスコアラーのサイン盗み行為が疑われ、審判がその場で警告。両方のケースとも球団側は疑惑を否定し、明確な不正は確認できませんでしたが、パリーグはダイエー、近鉄両球団の幹部らに長期間の職務停止などの厳しい処分を下しました。
こうした事件をきっかけに、パリーグはフェアプレー精神を追求する「監督宣言」をまとめたほか、セリーグも不正行為排除に関する申し合わせを決定。「野球規則」などに準じるプロ野球の「アグリーメント」でも「ベンチ内、ベースコーチ、走者から打者に対して球種等の伝達は行わない」と規定しています。
横浜・渡辺元智前監督「秩序を守らないと」
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サイン盗みに関するネットの反応
出典:twitter
まとめ
1敗すると終わってしまう高校野球や、生活がかかったプロの野球では、何とか勝利しようとチームはあらゆる手段を使います。
サインもその一つで、相手に悟られないように、ベンチがさまざまな戦術を密かに選手たちに伝達する手段。逆に相手チームは何とか敵の作戦を事前に知りたいと考えるものです。
こうした〝スパイ合戦〟も「野球の一部」という考え方もありますが、過度に進んでしまうと試合が遅延したり、そもそもフェアプレーの精神に反し「実力勝負」ではなくなってしまいます。
勝負ごとだけにギリギリのせめぎ合いが続くのは仕方ない面もありますが、学生野球は「教育」でもあり、指導者には一段の自制やマナー遵守が求められそうです。
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