第101回目の2019夏の高校野球・甲子園大会が8月6日に始まります。晴れの代表校が連日続々決まっていますが、当の学校にとってはこの上ない喜びの一方、「遠征費用」という頭の痛い問題も起こります。
甲子園の応援費用って、そもそもどのくらいかかるのでしょうか。甲子園出場にまつわる〝お金の裏事情〟を調べてみました。
甲子園の応援費用はいくらかかる?
全国何千校もある高校野球部でわずか49校しか出られない夏の甲子園。厳しい地方予選を勝ち抜いて手にした「甲子園切符」は何にも代えがたい宝物です。
ただ「甲子園出場決定!」の歓喜に浸る間もなく、選手・監督はもちろん、応援団など学校関係者は早速準備に忙殺されます。
一番悩ましいのはやはり「遠征費用」。部員ら野球部関係者だけでなく、一般生徒・教員・保護者・後援会員ら大勢の応援団の交通費、滞在費、食費、チケット代など多額の費用を調達しなくてはなりません。
ちなみに甲子園大会主催の高野連では、野球部関係者については以下のように一定の費用補助を行っています。
全国大会 1校20人(選手18人、責任教師1人、監督1人)を限度とし、次の通り旅費と滞在費補助を支給する。
(イ)旅費は代表校の所在地から大阪までの往復普通乗車運賃(新幹線、特急、急行料金を含む)、船舶利用の場合は普通二等の乗船運賃を支給する。沖縄、南北北海道代表校は航空運賃を支給する。
(ロ)滞在費は抽選日(8月3日)から、その学校の最終試合日までの日数に対し、1日1人4,000円を補助する。:日本高野連公式サイトより
しかしこれはあくまで「補助」。甲子園周辺の宿舎で一泊二食「4000円」では到底足りませんので、やはり多くは学校側が支払うことになります。
応援団の滞在・交通費は原則「自腹」、つまり生徒の保護者が生徒や自分たちの分を負担するのが通例といいます。ただ地元と甲子園の往復だけで貸し切りバス数台以上はざら。遠方では新幹線・飛行機代なども必要で、1人10万円以上に上ることも。
宿泊費1泊1万数千円のほかアルプススタンドのチケット代(1日800円)や飲食費、応援グッズや楽器、部員らのユニフォーム、用具、バッグの人数分の新調費用なども必要。これらが勝ち進むごとに加算されるため、総額では1000万~数千万円に達する高校も多いそうです。
応援費用の現実...2018年金足農業の事例
報道などによれば、甲子園応援費用の過去の一部事例は以下の通りです。
・2試合戦った徳島県の公立校は4000万円
・3回戦まで進んだ中部地方の公立校は1億円超
・石巻工業(宮城)は5000万円目標に協賛金募集
・大館鳳鳴(秋田)は6000万円
多額の応援費用に悲鳴を上げた高校としては、昨年夏、準優勝を遂げ「フィーバー」に沸いた県立金足農業(秋田)が知られます。
吉田投手の活躍で快進撃を続ける度に遠征費が逼迫。当初の予算を大きく超える恐れが出てきたため、野球部OB会が中心に急きょ寄付金を募りました。
5000万円を目標に全国に呼びかけたところ、「東北の公立農業高」の大活躍に感動したファンや団体ら4万件以上の募金が寄せられ、最終的には3億円近くに達したそうです。同校は応援費の補填や今後の野球部活動に充てるということです。
金足農:寄付2億7000万円に 文化祭は一般公開中止に - 毎日新聞 https://t.co/6ZPtLwN8Ho
— 毎日新聞秋田支局 (@mainichiakita) September 18, 2018
甲子園の応援費用に関するネットの反応
出典:twitter
まとめ
専用の用具の種類が多い野球を筆頭に、高校スポーツでは親の負担もかなり大きいのが実情。強豪校の場合部費が月1万円程度必要なほか、甲子園など他県への遠征のたびに費用が加わり、年平均100万円以上という家庭もあるといいます。
すべて親がまかなうのは苦しいと、同窓会などの寄付金が充てられることもあるそうですが、金足農のように公立でも伝統校や名門校では各界に有力OBが多いこともあり、割と寄付が集まりやすい一方、強豪私立でも新設校では厳しい場合もあるなど、それも「簡単な話」ではないようです。
スポーツとお金の問題は、いつの時代も切り離せない難問であり続けるのでしょうか……。