プロ野球は今年もセパ交流戦が始まりました。第一カードの3連戦が4日から各地で開催されましたが、そのうち6日のロッテvs阪神戦が「警告試合」になってしまいました。
野球やサッカーなどでは時々「警告試合」や「没収試合」という言葉を聞きます。この警告試合や没収試合とは?両者の違いは何なのでしょうか。最近の事例とともに調べてみました。
没収試合とは?
スポーツニュースなどで時々耳にするものの、違いが今一分からない「警告試合」「没収試合」。まず没収試合とはどういうものでしょうか。
日本のプロ・アマ統一の公式ルールを定めた「公認野球規則」によると、野球の没収試合は次のように規定されています。
7.03 フォーフィッテッドゲーム(没収試合)
(a)〈4.15〉一方のチームが次のことを行なった場合には、フォーフィッテッドゲームとして相手チームに勝ちが与えられる。
つまり、何らかの重大な違反行為などがあったり、人為的な要因で試合続行が不可能になる事態が起きた場合、審判の判断で試合を行わず、違反がなかった側のチームを勝利とするルールのことです。
公認野球規則には数多くの事例が記載されており、一部をご紹介すると次のような行為が没収試合に該当します(文は要約)。
・球審のプレイ宣告後5分経っても選手が出てこない場合。
・試合を長引かせたり短くするために策を用いた場合。
・球審が試合の一時停止や打ち切りを宣告していないのに、続行を拒否した場合。
・審判が警告したのに故意や執拗に反則行為を繰り返した場合。
・審判が退場を命じた選手を退場させなかった場合(規則外の選手が出場した場合もこれに該当)。
・観客が球場に乱入し退去させられない場合。
具体例を見てみると、組織・設備などが整ったプロでは、昭和20-30年代にはいくつかあったものの最近は皆無。ただ人手が足りないなど運営が難しいアマでは現在でもしばしば見られます。例えば次のような事例です。
・昨年9月、高校野球秋季沖縄県大会・沖縄高専vs豊見城南戦1回、熱中症で沖縄高専の選手が退場し9人未満となったため没収試合となり、豊見城南が勝利。
・今年5月、大学サッカー桃山大vs大産大戦で、桃山大の選手到着が遅れたため没収試合となり、大産大が勝利。
・今年4月、大学サッカーの名経大が、対戦した四日市大と中部大戦で登録外選手を出場させたため、2試合とも没収試合となり敗戦。
このように現在の国内の没収試合はほとんどがアマで「選手登録のミス」「選手が足りない」といった理由によるものが多いようです。
警告試合とは?
没収試合とは前述の通りと分かりましたが、一方警告試合との違いは何でしょうか。
警告試合は主にプロ野球やMLBでのルール。NPBでは公認野球規則ではなくアグリーメント(リーグの申し合わせ)で規定されています。
これは死球や衝突など危険なプレーがあった時、報復や乱闘行為を未然に防ぐため、再度危険プレーをした選手や監督を退場させると審判が「警告」した試合のことです。
NPBやMLBではしばしばあり、6日のロッテvs阪神戦では、前日の試合で2回も死球を受けたロッテの井上選手が、7回に再び死球を受け激高。両軍がにらみ合いとなったため審判が警告試合を宣しました。
またMLBでも昨年のエンゼルスvsアストロズ戦で、最初にアストロズのスター・アルトゥーべ選手が160km/hの剛速球で死球。その後大谷翔平選手も死球を受けたため、審判が「報復」と判断して警告試合を宣告。
その後さらにエンゼルス投手がアストロズのグリエル選手に死球を与えたため、一発退場処分となりました。
Hit by pitch 95mph 25/8/2018 #showtime #Ohtani #ShoheiOhtani https://t.co/gqvzSu7b5c pic.twitter.com/eXuExzCPsp
— doraeman95 (@doraeman95) August 31, 2018
違い・線引きと宣告後どうなる?
以上のように没収試合と警告試合には大きな違いがあり、まとめると次のようになります。
・没収試合は重大違反行為や人数不足などで宣告され、試合は行わずにただちに違反のない側が勝利となる。
・警告試合は、危険球投球や報復合戦、乱闘などを防ぎ秩序を保つのが目的。試合中に宣告されるが試合自体は最後まで続行。
没収試合とは、いわば「トラブルで試合続行が不可能」という非常事態。警告試合は「乱闘するな」と注意するだけで試合は行う、という明確な線引きがあります。
もちろん選手同士の乱闘が収まらず試合ができなくなったりすれば、警告試合が没収試合に発展することもあり得ますが、常識的には考えられないでしょう…。
最近の警告試合のネットの反応
出典:https://news.yahoo.co.jp/pickup/632589
まとめ
プロ野球史で有名な警告試合といえば、98年の阪神vs巨人戦で、巨人のガルベス投手が球審にボールを投げ付けたり、何度も両軍が死球で乱闘になるなど大荒れとなり、カード終了後に責任を取って巨人の長嶋監督が頭を丸めた事件などが思い出されます。
かつては「乱闘も野球の華」といった声もあったようですが、ケガをして出場できなくなれば元も子もない話。選手の「意地」「感情」はプレーで見せてほしいと1ファンとしては思います。
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