いよいよ14日からテニス4大大会・全豪OPが開幕します。テレビやネットでの観戦が楽しみですが、ところでここ数年テニスの試合を見ていると、時折「チャレンジ!」という場面に出くわします。テニスのチャレンジシステムとは何でしょうか?その仕組みや精度を調べてみました。
テニスのチャレンジシステムの仕組みとは?
テニスなどのラケット競技やバレー、サッカーでは、ボールがラインに入ったかどうかの判定が試合の勝敗を決める上で非常に重要です。
従来は主審のほかラインの近くにいる線審・副審が「人の目」で判断してきたわけですが、人間だけに限界もあり、判定に不服な選手が激しく抗議する場面などもたびたびありました。
そこでこれを高精度な機械で行い「誰でも納得できる判定にしよう」という仕組みが、テニスの「チャレンジシステム」です。
正式には「ホークアイシステム」と呼ばれ、高性能カメラで試合中にボールの位置や軌道を分析しCGで再現することで、審判判定の補助を行う映像処理システムを意味します。会場内にも表示されるので選手も観客も同時に確認することができます。
プロテニスの「チャレンジシステム」は2006年から導入。ボールのアウト、インの審判判定に異議を申し立てることを「チャレンジ」と呼び、選手は1セットにつき3回まで行使できます。チャレンジ成功(審判が間違っていた)の場合はチャレンジ回数は減らず、失敗の場合は1回減ります。
ホークアイの高性能カメラはコートの周囲に10台も設置してあり、判定結果はわずか2、3秒で表示されます。最近は選手のチャレンジコールとともに観客が手拍子して結果発表を待つなど、「お楽しみ」の一つにもなっているようです。
ホークアイの精度は?
現在のテニスに欠かせないツールとなっているチャレンジシステム。トッププロが出場するツアー大会で、「ホークアイ」のない試合はほぼ皆無ともいわれます。
ではチャレンジシステムの仕組みの「心臓」であるホークアイの精度は、どのくらいなのでしょうか。技術者によると、ボールをとらえるハイスピードカメラは1秒間に60コマの画像を撮影でき、誤差の可能性は最大3.6ミリという高精度だそうです。
ただもちろん、ハイテク機器だけに「100%間違いなく稼働する」ということはありません。市販のパソコンなどと同じく、まれにはバグやエラーなども発生するようです。
過去には会場内の判定画像で「イン」と表示されながら、ボールの影はラインの外に映っている「?」なケースも(判定はアウト)。また、以下にご紹介する動画のような珍しいホークアイの故障例もありました。
2017年のロジャーズ・カップで、チョリッチ選手がショットを線審にアウトと宣告され、チャレンジします。ところが表示されたコートの画像には肝心のボールがありません。実況席からも「あれ、ボールはどこでしょうか」と思わず笑いが。
主審も苦笑しながらトランシーバーでコントロールルームに確認し、「ボールはインだった」と判定を訂正。チャレンジ成功となりましたが、対戦相手のナダル選手は「は?イン?!」と納得いかない様子でした。
そんな〝チョンボ〟がたまにありながらも判定精度は99.9%以上とされ、やはりチャレンジシステムは現在のテニスに不可欠なことには違いありません。
チャレンジシステムに関するネットの反応
出典:twitter
まとめ
テニス、サッカー、野球等々、プロスポーツでは近年高性能IT機器の発達に伴い、画像判定が次々に採り入れられています。「競技場内にセンサーを網のように張り巡らせれば、いずれ審判は不要になる」といった極論もあるほどです。
ファンにとっても選手にとっても、判定の正確さが増すのは利点に違いありません。ただテニスのフェデラー選手ら、中には「待ち時間でリズムが狂う」と嫌うプロもいるようです。一呼吸置くためわざと戦術的にチャレンジを使う選手もいるなど、新たな駆け引きの道具になっているのも、機械判定の副産物といえそうですね。
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