FIFA・W杯ロシア大会で盛り上った昨年。そして今年はラグビーW杯が初めて日本で開催されます。9月の開幕まで7か月あまり。日本代表はこのほど合宿を始動。16日に今季初戦を迎えるスーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズもW杯に向けた代表選手の重要な強化の場となります。
ところでラグビー日本代表にはかなり外国人が多い印象が。現在の日本代表で外国出身選手は何人?そのうち日本に帰化しているメンバーは誰なのでしょうか。
ラグビー日本代表2019の外国人で帰化しているメンバーは?
ラグビーW杯は1987年から4年に1度開催されているラグビー界最高の大会。欧州や南半球のラグビー伝統国を飛び出し、アジアで開催されるのは日本が初めてです。
W杯は各国・地域の予選を勝ち抜いた代表20チームが出場し、9月20日から11月2日まで全国12会場で計48試合が行われる世界的大イベントです。
開催国の日本代表は、社会人のトップリーグでプレーする選手を中心とする約40人。顔ぶれを見ると「外国人」と思われる選手がかなりの数に上ります。
日本ラグビーフットボール協会公式Webサイトの15人制代表一覧(11日現在)によると、外国出身選手はリーチマイケル主将、ツイヘンドリック選手ら14人います。このうち日本に帰化して日本国籍を取得している選手は以下の通りです。
ヴァルアサエリ愛、アニセサムエラ、中島イシレリ、ヘルウヴェ、リーチマイケル、ツイヘンドリック、ヘンリージェイミー、レメキロマノラヴァ、ラファエレティモシー
ラグビー日本代表やトップリーグで活躍する外国出身の選手たちは、ほとんどがニュージーランド、トンガといった南半球のラグビー強豪国の出身。
そして中学や高校生のころからチャンスを掴むために日本に留学し、日本社会の中で育ってきた選手が多いのが特徴です。その背景には、ラグビー界独特の「代表ルール」があるようです。
<RWCTSキャンプ>
練習を終え、リカバリー中のアニセ選手、中島選手、レメキ選手(左から)。#rugbyjp #OneTeam #RWC2019 pic.twitter.com/Slw1dRJxXg— 日本ラグビーフットボール協会 (@JRFUMedia) February 7, 2019
ラグビー代表の外国人のルールは?
サッカーや野球の日本代表と異なり、全体の4分の1超が外国出身で、その多くが帰化しているラグビー日本代表。背景にはラグビー特有の代表資格のルールがあります。
五輪はじめほとんどのスポーツの国際大会では、「国・地域代表」はその国の国籍を持っていることが基本的条件です。しかしラグビーの代表資格は以下のいずれかの条件を満たせばよく、国籍は必ずしも必須ではありません。
・その選手が当該国・地域で生まれたか、両親、祖父母のうち1人が生まれている
・その選手が36カ月継続して、あるいは通算10年にわたり当該国・地域に居住している
(継続居住期間については2020年末から60カ月に延長予定)
こうした国籍に寛容な考え方は「所属協会主義」と呼ばれます。これは競技発祥地の英国人がかつて植民地に散らばっていたため、英国代表になれるようにした方策との説もあります。
このためラグビーは五輪競技にはなっていませんが、日本に限らず他国代表にも外国人選手は多くいます。そして五輪などと違い、一度でもある国の代表になると、その後は二度と別の国の代表にはなれません。
サッカーや野球などのいわゆる「外国人助っ人」とは全く異なり、ラグビーでは多くの外国出身者が「その国に骨を埋める覚悟」でプレーしているといえます。
南半球などのラグビー強豪国では母国代表になるのは高い壁。そのため少年時代から日本に留学して長く生活し「日本でトップ選手になって世界で戦おう」という選手が多いわけです。
例えばニュージーランド出身のリーチマイケル主将も15歳で札幌山の手高に留学。東海大で腕を磨き、同級生の日本人女性と結婚。帰化すると名前も「マイケル・リーチ」から日本風に「リーチマイケル」へ。
東京でNZ料理店を開くなど「両国の架け橋になりたい」との思いも強く、「日本が育ててくれたから今の自分がある。日本に来たことに後悔は一切ない」と話しています。
Ioka Kazuto vs Stamp Kiatniwat tonight at 21:30 TBS #titleshot #井岡一翔 Go get 'em👊👊👊 pic.twitter.com/YLViyWWH06
— MichaelLeitchリーチマイケル (@g_leitch) December 31, 2016
ラグビー日本代表に関するネットの反応
出典:twitter
まとめ
国内スポーツの外国人選手というとどうしても〝助っ人〟のイメージが強く、同じように帰化する外国出身力士が多い大相撲でも、日本のメディアでは「日本出身力士」といった表現が消えません。
こうした「自国ルーツ」へのこだわりは、島国の歴史的背景や血統を重んじる文化なども影響しているのでしょうか。ラグビーの外国出身選手たちもそうした視線は大いに感じているようで、「何とか日本に恩返ししたい」といった思いが帰化に向かわせる理由の一つなのかもしれません。
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