今年の麻疹感染者が昨年同時期の3.5倍となり、三重大阪が上位となっています。
三重の集団感染に宗教団体が関与しているとの話の真偽と大阪で流行の理由を見て行きました。
麻疹が三重で拡大は宗教団体から?
麻疹が三重で拡大は宗教団体からなのでしょうか?
まず、昨年と今年の全国での麻疹発生状況を見てみましょう。
(2018年)沖縄で集中して発生しました。これは、台湾に在住の30代 男性が3月14日に発熱し、3月20日検査を実施して、麻疹感染が分かったが、3月17日から沖縄本島内を観光旅行していて宿泊施設利用者、飲食店の従業員など多くの人と接触したことが要因となっています。
海外からのキャンセルが相次ぐなど、沖縄の観光業に大きな痛手を負わせました。
(2019年)昨年患者数0であった三重が、5月末で、54名と抜き出ています。
これは、昨年末津市内で行われた宗教団体の研修会の参加者から、麻しん患者が発生し、その後、参加者の経緯観察を行ったところ、二次感染者、三次感染者、患者家族内での四次感染者まで確認されたということです。
1月30日で、47名に上りました。
但し、5月末で、54名で、フィリピン旅行者の感染で、医療関係者2名が感染したなどの報告がありますので、1月の件は一応収まったと考えられます。
この宗教団体は、名前を公表するなど保健所に協力的ですが、「自然尊重・自然順応の教えに従い、医薬に依存しない健康・・・を基にした信仰生活を重んじておりますので、感染者のなかにはワクチンを接種していない信徒がいた」と謝罪文を掲載し、祭典や研修会などの集会を当面中止にすると発表しています。
信仰上の理由で、ワクチンを打っていなかった信者が多数いたため、感染が広がったのではと推測されます。
外国観光客の中には、宗教上や文化的な理由で、ワクチンを打たない人もいるでしょうから、単にワクチン接種を呼びかけるだけでは今回のような問題は解決しません。
大阪で流行っている理由
大阪は、5月末時点で、100万人当たりの患者数では、三重を抜いて全国1となっています。
21週(5月末)で142名が発症しており、診断週別報告数からすると7週目(2月下旬)にピークを迎え、一旦収まったものの、連休後にまた発生し始めた状況です。
2件の集団感染が報告されています。
・大阪府済生会茨木病院(茨木市)で、2月上旬に院内感染で計11人が発症しました。
医師1人、事務職員5人、外来患者4人などとなっています。
・大阪市阿倍野区の「近鉄百貨店本店」のバレンタインフェア会場で接客していた20~40代の従業員と利用客ら計24人が感染しました。
感染源は、フィリピンやベトナムなど、東南アジアで感染した旅行客らが日本にウイルスを持ち帰り、感染が広まった可能性が高いとされ、「近鉄百貨店本店」が入るあべのハルカスで感染した複数の患者から、東南アジアで主流のウイルス「D8型」が検出されたということです。
大阪は特に、東南アジアを初めアジアからの観光客に人気の町ですので、販売や接待する人への感染は今後も可能性が高いと思われます。
なお、1月6日、大阪市内で開かれた「AKB48」の握手会に参加した三重県在住の集団感染の患者の十代男性がはしかに感染していたことから明らかになりましたが、これによって三重から大阪に飛び火したかどうかは分かりません。
その他、全国的で、具体的に分かった感染源は、外国人観光客、外国旅行や単身赴任などの帰国者が挙げられます。
・男性会社員(外国籍、30 歳代)が、5 月 14 日ベトナムから入国した5 月 23 日に発病(三重県)。
・女性(30 歳代)が4月29日から3日間インドネシアに滞在して帰国し、5月18日にはしかと診断された(長野県駒ケ根市)。
・男性(40歳代)がベトナムに単身赴任中であったが、連休中にはしかに感染したのに気づかずに一時帰国し、妻と2人の子が感染した(佐賀県唐津市)。
現時点で、最初に感染した国が分かっているのは
21名で、フィリピン29、ベトナム18、タイ5、香港3、インドネシア2、ミャンマー5、台湾1、カンボジア3、ドイツ、カナダ、ウクライナ 各1となっており、
昨年の52名 タイ17 フィリピン7 ベトナム4と比べると、東南アジアに限らず、世界のどこでも感染の危険があることになります。
日本では平成22年以降、国内に由来する麻疹ウイルスによる感染が確認されず、27年にWHOから、はしかの「排除状態」と認定されていますので、海外から麻疹ウイルスが持ち込まれて、それが国内での接触で広がったと考えられます。
麻疹の流行2019へのネットの反応
確かに、来年以降のことを考えますと、ワクチンを接種すれば良いだけでは解決しない可能性があります。
まとめ
昨年と比較しながら、麻疹の三重での拡大や大阪での流行の理由をまとめました。
昨年の沖縄や今年の三重の例を見ても、麻疹は感染力が非常に強いため、いかに早く感染者を見つけ隔離し、接触した者を特定して検査できるか時間の勝負となっています。
我々としては、ワクチンを打つ、抗体ができていることを確認するのは、もちろんですが、国全体としてインバウンド対策が急務と感じました。
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