ボクシング・バンタム級の世界一決定戦・WBSS準決勝が、日本時間の28日に迫る中、衝撃のニュースが駆け巡りました。優勝候補の一人にも挙げられていたWBO王者テテ選手が、右肩故障のため直前に辞退したのです。
このため急きょ、28日の準決勝はテテ選手に代わり、リザーブのステファンヤング選手がノニト・ドネア選手と戦うことになりました。
ステファンヤング選手の強さや戦績は?不可抗力とはいえ「世界一決定戦」の意義が微妙になってきた感もありますが……。
ステファンヤングの強さと戦績
WBSSバンタム級では、現在の王者であるWBA井上尚弥、IBFロドリゲス、WBOテテの3選手すべてが出場し、まさに「階級No1を決める真の戦い」と世界の注目が集まっていました。
しかしテテ選手は、練習中に痛めた右肩が回復しないため辞退を決断。WBSSは「試合中止はできない」と、急きょ控えだったステファンヤング選手の出場を決めました。このステファンヤング選手の強さはどのくらいなのでしょうか。
ステファンヤング選手は、米セントルイス出身の30歳のサウスポーボクサーで、現在WBAバンタム級5位。2015年にプロデビューし、これまでの戦績は22戦18勝(7KO)1敗3分けです。
WBAのNABA北米バンタム級王座を獲得後、18年3月に、初めての世界挑戦としてWBA暫定王座決定戦をガバリョ選手(フィリピン)と行いましたが、判定負けで王座獲得はならず。今回の代替出場が世界戦は実質2戦目です。
知名度としては低い印象のステファンヤング選手ですが、井上選手と共通に戦った相手がいます。ニエベス選手(米)です。井上選手は17年に米デビューした防衛戦で、ニエベス選手を6回棄権で下しました。一方ステファンヤング選手は15年に対戦し、8Rでジャッジ三者三様の引き分けに終わっています。
https://twitter.com/WBSuperSeries/status/1121527691889475593
ステファンヤングvsドネアの予想
「ショーを中断させるほど光った奴」といった意味の「ショーストッパー」の愛称を持つ強さのステファンヤング選手。
今回のトーナメントではリザーブ選手に登録され、28日にはテテvsドネア戦などのアンダーカードを戦う予定になっていたそうです。
このため急きょ対戦相手が代わったものの、ヤング選手自身は「ノニトを尊敬しているし、彼は偉大なファイターだが、僕には戦う相手は関係ない。これは素晴らしいチャンス。大きなステージでも十分力を出せると思う」と自信を見せています。
一方のドネア選手は、テテ選手棄権を聞き「私は家族も犠牲にしながらトレーニングを重ねてきた。対戦相手の怪我にまで責任は負えない」とやや〝怒り気味〟のツイート。
しかし続けて「今はステファンヤングと戦うだけだ。そして私のファン、友人や家族の前でやるべきことをやる。つまり、決勝に私のタイトルを持っていくことを」とツイートし、あらためて勝利への自信を表明しました。
30代半ばとピークは過ぎたものの、元5階級王者という圧倒的実績や過去の実力は、ステファンヤング選手をはるかに上回っているドネア選手。調整がうまくいっていれば、ドネア選手の決勝進出が順当といえそうです。
https://twitter.com/WBSuperSeries/status/1121183183670661120
テテ負傷に関するネットの評価
出典:twitter
まとめ
世界が注目する重要な一戦のわずか3日前、突然伝わった衝撃の「テテ辞退」。ファンの驚きはもちろんですが、最もビックリしたのは対戦相手のドネア選手、そして代替出場するヤング選手だったでしょう。
決定を聞いたヤング選手は「本当に驚いたし、これは夢だった。僕は喜びの涙に満ちた目で10分間、その辺をグルグル歩き回ったよ」と、思いもかけない〝棚ぼた〟に歓喜を隠せない様子でした。
同じ階級で同じ日の試合に向けトレーニングしてきたヤング選手ですから、格上のドネア選手相手とはいえ、気持ちも新たにベストファイトを見せてほしいものです。
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