第91回選抜高校野球大会(春のセンバツ甲子園2019)は1回戦の熱戦が続いています。
26日の第4日目までに、計3試合で延長戦に突入。いずれも延長11回で決着しましたが、仮に12回も同点だと、選抜高校野球では「タイブレーク」が行われる決まりになっています。
タイブレークとは何?いつから、なぜ甲子園で導入されたのでしょうか。そのルールとともにまとめました。
選抜高校野球タイブレークのルールを分かりやすく解説
タイブレークとは、時間制限のないスポーツで試合の早期決着を図るためのルールです。元々はテニスで1970年代に採用。他に野球、ソフトボール、カーリングなどでの導入が知られています。
野球では08年北京五輪で、試合のスピードアップのため導入されたことをきっかけに拡大。野球の国際大会ではプロレベルの試合を含め全面実施されており、日本の高校野球では春夏の甲子園大会と春秋地区大会、明治神宮大会、国体などで導入されています。
野球のタイブレークは、延長戦になった場合に人為的に走者を置いた状態から試合を始め、進行や決着を早めようとするものです。
春の甲子園・選抜高校野球のタイブレークルールは以下の通りになっています。
・延長12回終了時に同点の場合、13回からタイブレークを実施。決着がつくまで続ける。1人の投手が登板できる回数は15イニング以内を限度とする。
・無死1、2塁からスタートし、前の回の打順を引き継ぐ形で行う。
・決勝では適用せず、従来通り延長15回引き分け再試合とする。決勝再試合ではタイブレークを適用する。
・タイブレークで出塁した2走者は投手の自責点としない。タイブレーク戦ではノーヒットノーランの記録は認めるが、完全試合は認めない。
このようにタイブレークでは点が入りやすくなり、長々と延長戦が続くことがなくなります。日本高野連のこれまでのデータでは2イニング以内にはほぼ終了するとのことです。決勝以外で再試合がなくなるのも、大会運営の面で利点といえます。
タイブレーク新ルールを導入した理由
ではなぜ高野連は、選抜高校野球や夏の甲子園でタイブレークという新ルールを導入したのでしょうか。
直接のきっかけは2017年の選抜高校野球大会で、春夏通じて初めて1大会で2試合が延長15回引き分け再試合となったこと。それ以前から、「投手の投げすぎ」や少年時代の肩肘の酷使で故障につながる問題が議論を呼んでいました。
既に国際大会、大学、社会人では実施されていることもあり、選手の健康管理や大会日程の円滑な消化のため、高野連は18年の第90回選抜高校野球大会から甲子園でもタイブレークを行うことを決定しました。
ただし前述のように、甲子園ルールではタイブレークは延長13回から。12回までの3イニングは普通に試合を続行します。統計では延長戦になっても殆どの試合は12回までに決着するといいます。
このため、これまで実際にタイブレークが行われた試合は、昨年夏の甲子園1回戦の1試合だけにとどまっています。
新ルールに関するネットの反応
出典:twitter
まとめ
野球で、少年時代の体の酷使が選手生命に大きく影響するのはもはや国際的な常識。高校野球ではタイブレークに次いでようやく投球数制限の検討が始まりましたが、遅きに失した印象が拭えません。
プロの有名選手やスポーツ庁が次々問題提起し、日米の学童野球で導入されてやっと重い腰を上げた高野連。それでもなお、高校指導者の間には「試合は普通に最後までやるべき」「投球制限は公立校が不利」「全員プロになるわけではない」「大会日程を延ばせばいい」といった後ろ向きの声が根強いそうです。
健康を「二の次」にする旧態依然とした体質こそが、野球人口減少や人気低落を招いている一因かもしれず、1ファンとして危機感すら覚えます。
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