団体を超えて「世界一強いボクサー」を決めるトーナメント・WBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)のバンタム級準決勝が、いよいよ今月末から始まります。
まずは27日、米国で行われるゾラニ・テテ選手(南アフリカ)対ノニト・ドネア選手(フィリピン)の一戦。この勝者が、5月の「井上尚弥vsロドリゲス戦」の勝者と決勝を行います。
ではゾラニ・テテ選手の戦績や強さは?「最近は弱い」という説は本当なのでしょうか。
ゾラニテテは弱いの声
ゾラニ・テテ選手は1988年南ア生まれの31歳。元IBF世界スーパーフライ級王者であり、現在はWBO世界バンタム級王者という2階級制覇王者です。
ゾラニ・テテ選手はサウスポースタイル。長いリーチを生かしたジャブの打ち分けと、懐に入ってくる相手へのタイミング良い左ストレートが持ち味です。
ただ最近の戦績ではKO勝ちは少なく、一発で倒す「パワーヒッター」のイメージではありません。
南ア選手とあって日本や米国で馴染みが薄く、これまでは「バンタム級最強か」「井上の最大のライバルか」とも噂されてきましたが、WBSSなど最近の試合内容を見たファンからは「テテはそれほどか?」「実は弱いのかも…」との声さえ聞こえているようです。
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— CAJUNDOME (@cajundome) April 13, 2019
ゾラニテテの戦績
ゾラニ・テテ選手は2006年プロデビュー。「天性最後の逸材」の愛称を持ち、フライ級でキャリアをスタートさせますが、当初は負けが続きなかなか世界戦へ到達できず。
ようやく2014年、IBF世界スーパーフライ級6位の帝里木下選手と神戸市で王座決定戦を行い、判定勝ちで初めて世界王者となります。
さらにバンタム級に階級を上げた17年、WBO王座決定戦で判定勝ちし2階級制覇。その年の初防衛戦で、ゴニャ選手を初回11秒でKOし、世界戦最短KO記録を23年ぶりに更新して世界に衝撃を与えました。戦績は31戦28勝(21KO)3敗です。
その「世界最速KO」の印象が強すぎた反動もあるのか、最近は「意外に弱い」説もあるテテ選手。現在の実力はどうなのでしょうか。
ゾラニテテの現在 ピークは過ぎている?
「世界最速KO」記録保持者のゾラニ・テテ選手ですが、既に31歳と「選手としてのピークは過ぎた」との指摘もあります。
「下り坂」「弱いかも」説の最大の根拠は、昨年の元世界王者ナルバエス選手との2度目の防衛戦。かつては圧倒的強さを誇ったものの既に40歳を過ぎたナルバエス選手に、テテ選手は12回判定勝ちしました。
しかしその4年前に、当時王者のナルバエス選手は井上選手の挑戦を受け、プロ初のダウンを2度も奪われわずか2回KO負けしていますので、ファンからは「テテと井上との実力差は明らか」との声も出ています。
トップアマとはいえ、プロ戦績が浅いアロイヤン選手とのWBSS1回戦も判定勝利。準決勝は5階級制覇王者という大変な実力者のドネア選手ですから、より厳しい戦いが予想されます。
ゾラニテテvsドネアの予想
「最速KO」の戦績がありながらも「弱いかも」と噂されるゾラニ・テテ選手。次戦のドネア選手との試合はどう予想されているのでしょうか。
海外ブックメーカーのオッズでは、bet365が「1.16:5.0」、 William hillが「1.2:4.33」といずれもテテ選手が優位。
ちなみに井上尚弥選手も最近のテレビ解説で、以下のように独自の予想を披露しています。
「(結果が)気になりますね。ドネアがどこまでバンタム級にフィットさせてくるか。判定ならテテがアウトボクシングをして勝つことが想像できる。でも、ドネアの左フックのKO決着もなんとなく見えてきますし」「準決勝をしっかり勝って、決勝を日本で開催できるなら、ドネアの方が日本のファンが喜んでくれるんじゃないかな」
:スポーツ報知より
テテvsドネアのネットの予想
出典:twitter
まとめ
昨年秋のWBSS1回戦から既に半年以上。主催団体の資金トラブルなども噂され、一時は続行が危ぶまれるなど、ファンがやきもきさせられたWBSSバンタム級ですが、ようやく準決勝までこぎ着けました。
団体が林立するボクシング界で「真の最強王者を決めよう」という痛快なトーナメントだけに、ファンの支持も大きい大会。ぜひスムーズに秋頃までに決勝を終え、「日本の至宝」井上選手のさらなるキャリアアップにつなげて欲しいものです。
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