13名の吉本興業所属芸人が会社を通さず、振り込め詐欺集団の宴会や暴力団幹部のパーティーに出席していた闇営業問題で、大崎洋会長がインタビューに応じました。
原因の1つに給料が安いという点も指摘されている中、その理由に注目が集まりました。
吉本の給料が安い理由とは?
吉本興業の給料が安い理由について見て行きましょう。
今回の事件に関係した13名の芸人について、受領金額や処分、今後についてまとめました。
13名の外、今回明らかになった詐欺グループの宴会(2014年)の仲介をした入江慎也(カラテカ)については、反社会勢力とのつながりが決定的であると判断され、6月4日に吉本との契約が解除されました。
闇営業の原因の1つとして指摘されているのが、吉本の契約書も交わさず(口頭)、芸人を安いギャラで放置しているせいだと言う声が上がっています。
実際、明石家さんまや島田紳助が、童謡「こいのぼり」の替え歌で「ギャラより高い交通費~」と昔良く歌っていました(Wikipedia参照)。
報酬がいくらであっても必ず吉本側に天引きされ、10 - 20%の所得税が源泉徴収でされることが知られています。
このため、若手芸人の約半分がアルバイトをしながら生計を立てており、さらに、親から数十万に及ぶ仕送りを受けている芸人がいるとも言われています。
そもそも、契約書を交わさず、口頭で契約現場のマネージャーとの間で、その時どき、の状況にしたがって、契約しているようです。
駆け出しで、笑いの取れない芸人が、この状況で、ある程度のギャラを要求するなどということは、力関係から言ってもとてもできるものではありません。
吉本にすると、未熟な若手を、ベテランとセットして、芸を磨く場を与えてやってるという意識が強いと思われます。
現在吉本は6000名の芸人を抱えていると言われてます。
これらの多くの者が、笑いを取って、活躍できるようにマネージメントするというのはかなり困難だと思えます。
従って、吉本としては、大事な芸人、稼げる芸人、かなり将来性があると見込まれる芸人以外は、できるだけ手や経費を掛けずに囲っておきたいと思っているのではないでしょうか?
その中から、スターが一人でも出てくれば儲けものです。
もう一つ気になったのが、2007年の1部企業からの株式上場を廃止。
2015年9月1日の資本金を約125億円から1億円に減資し、「中小企業」(法人税法・租税特別措置法上)となった点などです。
これにより、法人税や法人事業税、地方税の法人住民税、地方特別法人税、中小企業投資促進税制、中小企業等基盤強化税制など数々のメリットを受けているとみられています。
吉本側は「取り崩した資本金は中長期的な投資に回す」と説明していますが、洋画の配給、BSデジタル放送の新規参など事業拡張に原資を使い、足元の芸人の待遇への視線がおろそかになっているのではないでしょうか?
事業内容については以下のように記載されています。
TV・ラジオ、ビデオ、CM、その他映像ソフトの企画、制作および販売、劇場運営、イベント事業、広告事業、不動産事業、ショウビジネス、その他商業施設の開発、運営
また、このような経営形態となったことで、経営の透明性が以前より落ちているということはないでしょうか?
大崎洋会長の話のポイントと賛否の焦点
吉本の芸人が「最初のギャラが250円だった」とテレビで発言するなど、吉本の給料がなぜ安いのかに焦点をあてて、大崎洋会長の話のポイントを見て行きましょう。
・芸は、人生をかけて何十年も積み重ねて完成するもので、修行時代に、先輩のおかげで舞台に立つ経験をさせてもらうのが大事で、ギャラの額の問題ではない。居酒屋でバイトするなど下積みをしてきた。
・吉本の芸人としてデビューしたんだから、だれも笑ってくれなくても、月に30万円払ってやるからがんばれよ、というやり方は、本当の芸人を育てるやり方とは思えない。
・ギャラを含めた契約は、「安いギャラでも番組の本数を増やしたほうがいい」との判断する、現場のマネージャーやチーフマネージャーが口頭でやっている。
・イベントをすれば場所代、賃料のほか大道具さん、衣装さんの経費も必要。黒字が出るときも、赤字のときもある。赤字だったとしても、プロとして吉本の舞台に立ったのだから、ギャラは払ってあげないといけない。それが250円ということもある。
芸人はサラリーマンと違うということは分かりますが、吉本に所属する芸人として若手を抱えながら、場を提供してやるから食えなければ、自分で工夫し、成長したければ、自分で、先輩から芸を盗むなり、考えよと言っているように見えます。
企業として多角化し、規模を大きくしながら、メンバーである芸人の育成や、成長は、昔ながらの考えで自助努力だけを求めているように見えます。
しかも企業としてのリスクは最小限となるよう意図しています。
従来のお笑い芸人の仕事から、テレビの司会やコメンテイター、官庁や地方公共団体の仕事まで、最近は従来よりずーっと幅が広がってきています。
このような状況で、若手芸人の育て方を会長のおっしゃるような昔のままの考えで、果たして良いのかが焦点になるのではと思えます。
大崎会長へのネットの反応
ただリターンも大きい業界なので、一般会社員と比較するのは難しいが。
安い給料は多分若い芸人は納得しているのだろうが、取り分やら中身が不明なので不安が大きいのだろう。そ
闇営業を放っておいて、現場任せにしていたらこんなことも起きるだろう。
それが満足なギャラが払われず、いわば飼い殺しのような状態であれば問題である。
だけど、あんなに大きい吉本興業は劇場や養成所、グッズ販売などと金儲けをメインにしているが、売れなくても頑張っている芸人がいるから会社が潤う。
生活していけないなら掛け持ちアルバイトをして無理なら芸人をやめればいい。
出典:ヤフコメ
会長の考えに賛同するコメントはほとんどありませんでした。
会長は昔ながらの考えにとらえられて、大事な点をはき違えているのではないでしょうか?
まとめ
今回の闇営業問題についての大崎洋会長のコメントに対して、「吉本の給料が安い理由」という点に絞ってまとめてみました。
芸人という職業は、サラリーマンなど一般の職業と違っていることは、理解できても、一方で会社は近代化し、大きくなり、所属する芸人の仕事も変化しているにも関わらず、芸人のありかた育て方が従来のままでは綻びがでてくるのは当然と思えます。
今度の事件をきっかけに、届け出の仕方などマニュアルの変更や、数度の教育でお茶を濁すのでなく、特にトップが、根本的に考え方を切り替える必要があるのではと感じました。
■関連記事