日米のプロ球界で数々の金字塔を打ち立てた、文字通り不世出の偉大な野球選手・イチロー外野手が21日、ついに現役引退を表明しました。
「メジャーの一歩を始めたマリナーズで、そして生まれ故郷の日本で現役を終われて光栄」とイチロー選手。引退会見で語られた今後のこととは?将来、野球指導者になる可能性はあるのでしょうか。
イチローの引退会見概要
7年ぶりの日本開催となったMLBマリナーズvsアスレチックスの開幕2連戦。昨季古巣マリナーズに戻ったイチロー選手も〝日本凱旋〟し、二試合ともライトでスタメン出場しました。
21日の第2戦。試合序盤、メディアが「試合後イチローが引退表明へ」と速報し球場が騒然となる中、イチロー選手は淡々と守備や打席をこなしました。
残念ながらヒットは生まれませんでしたが、ベンチに下がる際には涙のチームメイトと抱擁。球場も温かい万雷の拍手に包まれました。
4時間以上の延長戦後、東京ドーム近くで深夜の引退会見を開いたイチロー選手の口からは、今後のことや指導者への思いなどが訥々と語られました。概要は以下の通りです。
【引退を決めたタイミングと理由】
「キャンプ終盤に決めた。結果を出せず、それを覆すことができなかった。マリナーズ以外に行く気はなかった。(日本球界復帰も)全然なかった」
【引退への後悔】
「今日のあの球場での出来事を見たら後悔などあろうはずがない。自分なりに頑張ってきたとはっきりと言える。50歳まで現役、が有言不実行になったが、言わなかったらここまで来られなかった」
【現役で印象に残るシーン】
「色々記録なども残したが、大きな意味はない。今日の体験に比べると小さなこと。去年から試合に出られない中でもチームと練習を続けたから今日がある。どの記録よりささやかな誇り」
【野球の魅力とは】
「団体競技であり個人競技。チームの勝利とともに個人でも成績を残さないと生きていけない。同じ瞬間がなく必ずいつも違う。飽きない。ただ今の野球が頭を使わなくなっているのは気持ち悪い」
【後輩へ贈る言葉】
「雄星は凄くいい子で天才肌。スケール感ある。今日は号泣しすぎで笑ったけど。翔平は世界一の選手にならないとダメ。サイヤング賞の翌年に本塁打50本なんてやったら化け物だけど、それを考えさせる」
The Mariners win in extras on a night we will never forget. #ThanksIchiro
RECAP: https://t.co/UIcd5ABsTj pic.twitter.com/VUNANBvyhJ
— Seattle Mariners (@Mariners) March 21, 2019
https://twitter.com/Mariners/status/1108746266857607168
イチローの今後は?指導者は?
世界で惜しまれながら引退を決断したイチロー選手。気になるのは今後はどうするのか。監督など指導者になるのでしょうか。
これについて、イチロー選手はジョークを交えながら引退会見でこう語りました。
「今後?何になるんだろうね。カタカナの元イチロー?。監督は絶対無理。これは絶対が付く。人望がないから。プロの世界というよりも、アマチュアとプロの壁が日本の場合は特殊な形で存在しているのが気になる」
「今日で元イチローなので(プロを離れるので)、小さな子供なのか中学生なのか、高校生なのか、大学生なのか分からないが、そこには興味がある」
イチロー選手は長年、故郷の愛知県豊山町で「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」を開催し、しばしば小学生たちとも交流しています。
引退会見では「今後は真剣に草野球をやる野球選手になるかも」とも話し、プロの指導者より、学生やアマチュア選手を育成することに関心を抱いているようです。
Words can't describe the scene at the Tokyo Dome over 30 minutes after tonight's game ended.
So here's 3.5 minutes of unedited footage from Ichiro's curtain call. #ThanksIchiro pic.twitter.com/Vsbvk5j5MR
— Seattle Mariners (@Mariners) March 21, 2019
イチローの引退会見にネットの反応は?
出典:twitter
まとめ
引退会見では「天才」イチロー選手の意外な野球観が印象的でした。「日本の子供はすぐにMLBにいくべき」という考えには反対で、「将来MLBで活躍するための礎を作るという点では、日本の野球で鍛えられることはたくさんある」と指摘。
「基礎の動きはメジャーの選手より日本の中学生の方がうまいかも。チーム連係も日本の野球では言わなくてもできる。日本野球が米に追従する必要は全然ない。頭を使う野球を大事にしてほしい」と力説しました。
世界的な「生けるレジェンド」イチロー選手の、日本野球への尊敬や愛着が感じられる言葉は、野球少年たちにも大きな勇気になるのではないでしょうか。
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